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ドストエフスキーの何の小説の中だったか、決闘の場面があった。相手が主人公の鼻を狙って撃った弾ははずれ、主人公がよく狙いもしないで撃った弾が相手にあたる。 プロセス改善にしろ、プロジェクト管理にしろ、今までの伝統的なやり方は「構えて狙ってから撃つ」方法である。狙わないで撃ってもあたらないというのが古き良き時代の教訓であった。 だが、撃った後で、すぐに結果のデータが大量に手に入って、すばやくフィードバックする仕組みを作れるとすれば、まず撃つのが正解ではないだろうか? 最近のインターネットビジネスでは、ロス・ペローが言うように「構えて撃ってから狙え」が合言葉である。その意味するところは、すばやく試して、間違ったらまたすばやく軌道修正してもう一回試せ、ということである。現代では的の動きが速く、長い時間をかけて狙っていたのでは、撃ったときに的はどこかに行ってしまっている。 「10秒間マネージャー」の中で16年間IBMで働いたティム・ハリントンはIBMのことを、「構えろ、狙え、まだ撃つな、よーく狙え、もう一度よく狙え」と言っている。この意思決定の遅さがディフェンダーの弱点となる。 いまやドッグ・イヤー(4倍速)ではなく、キャット・イヤー(6倍速)である。「許可を求めるのは、駄目だといってくれというのと同じ。許可を求めるな。後で謝ればいい。」という世界で競争しなければならない。 ソフト開発でも、この例えが出てくる。アンドリュー・ハントとデビッド・トーマスの「達人プログラマー」は豊富な知識と経験に基づいた、ソフト開発者のための新しい古典である。この中で彼らは、撃つ前に曳光弾をあげよ、とある。曳光弾とは発展的プロトタイプ、つまり、最終的に製品にする試作品のことである。レビューに時間をかけ、最後に評価するスタイルはリスクを先延ばしする過去のスタイルなのであろうか? 古典的な物理法則が当てはまらない世界では弾はまっすぐ飛ばないかもしれないし、暗闇で的が見えないこともあるかもしれない。まずはすばやく試すことが重要なのである。 企業のスピードアップは当然個人のスピードアップが必要条件である。常に新しいものに取り組んで、自分で自分を時代遅れにしていく努力をしてゆかなければ、他の人によって時代遅れにされるだけである。
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