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ITアナリストのモシェラによると、IT業界のパラダイムは1995年を境にしてムーアの法則からメトカーフの法則へと変わったと言う。ムーアの法則では半導体の密度が18ヶ月から24ヶ月で倍になる。一方、メトカーフの法則は、次のようなものである。ネットワークのコストはネットワークの規模に比例して直線的に増大するが、ネットワークの価値は級数的に増大する。
この変化はPC中心からネットワーク中心へのパラダイムシフトと言うことができる。モシェラは、この後2005年頃にコンテンツ中心というシフトがあると予測している。IBMのチャック・マーチンも面白いことを書いていた。コンテンツのさらに先である。インターネット産業で最も重要なのは、コンテンツよりもコンテクストだと言う。例えば不動産会社では、不動産のリストがコンテンツにあたるが、販売物件のある町の統計情報や注目情報、レストランや学校の入った(双方向の)地図がコンテクストにあたる。
さて級数的に増加すると言うことは、ネットワークに接続しているユーザの数が一定の閾値を超えると、未接続であったユーザの参加が加速されることを意味する。
これはワードロップの「複雑系」に登場する経済学者ブライアン・アーサーの収穫逓増(ていぞう)も同じである。これは、それまでの経済学者からは異端と見られていたが、ヘーゲル3世とアームストロングの「ネットで儲けろ」(Net Gain)では、FAXの普及の例でこう説明している。「もし世の中に1台しかFAXが設置されていなければ、誰にもFAXを送れず、まるで役に立たない。しかしFAXが1台また1台と利用されるにつれ、通信の機会が増え、FAXの価値は高まる。」実際に、FAXの台数が、ある閾値を超えたとき、売上げは爆発的に増えた。
これはまるで「百匹目のサル現象」ではないか!
「百匹目のサル現象」は1981年に翻訳が出たライアル・ワトソンの「生命潮流」で有名になった。(原著は79年)ワトソンの著作は科学と非科学の間のきわどい境界上の話題で満ちているのだが、この「百匹目の・・・」も、専門家からは「こんないいかげんなことを言っては困る。」と言われている。(だがクラークの第二法則をお忘れなく。)これは一言で言うと、「あることを真実だと思う人数が一定数に達すると、それは万人にとって真実となる。」ということで、ワトソンは宮崎県幸島のサルの例を挙げている。あるサルの群れで、サツマイモを食べる前に海水で洗う習慣のあるサルがいた。その習慣を持ったサルの数が何らかの閾値を超えた時、その日のうちにコロニー全体に、その習慣が広まったという。そればかりか他の島にいたサルの
群れでも自然発生するようになった。その閾値を超えたサルが「百匹目のサル」である。ワトソンは生物だけでなくグリセリンの結晶化でも同じような現象を記述している。大勢に従うという無難な方法をとるのは人間様だけではないらしい。
ちなみにワトソンは「裸のサル」のデズモンド・モリスの弟子と言われているが、モリスの自伝を読むと単なる助手のような存在だったようだ。このモリスの自伝には。「野生のエルザ」のジョイ・アダムソンも出てきて、その話もしたいのだが、これはまた別の機会に。
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