ネットワークはバベルの図書館

ボルヘスが50年以上も前に書いた10頁にも満たない短編「バベルの図書館」を読んで圧倒されたことを思い出す。

バベルの図書館は、無数の本を収めた一つの世界である。それぞれの本は同じ大きさ、同じ頁数であり、1頁の文字数もみな同じである。どうやらアルファベットのすべての組み合わせの本があるらしい。

よって、あらゆる問題の回答が、図書館のどこかにある。人々はカタログ類のカタログ類を求めて図書館内を旅している。これまで地球上で出版された本はもちろん、宇宙の終末の様子や、ある人物の一生を(まだ未来のことであっても)詳細に記述した本もあるだろう。また全くでたらめな本(例えば最初から最後まで”A”という文字で埋まっているもの)も数多くあるだろう。

こんなことを思い出したのは、最近インターネットがバベルの図書館におもえてきたからだ。そこには有効な情報がある一方、意味の無い物、間違ったものもある。

Network Computingにエッセイを連載されているNRIの有賀氏は7月号で、こう述べられている。「最近も、EC(エレクトリック・コマース)に関してまとめるため、海外のWebにアクセスして調べものをしていたとき「なぁーんだ」と思わず手を打ってしまった。本件で権威者といわれる方々の言っていることは、XXXWebに書いてあることじゃないか、彼らは私よりちょっと早くXXXにアクセスしていただけなのだ。」

反対にGoodTimesウイルスのようなデマがネットワーク上を駆け巡ることもある。もっともGoodTimesがデマだという情報もインターネット上に数多くあった。

バベル…のカタログはサーチエンジンを予言していると言える。もうひとつバベル・・・では、無意味な本を焼き捨てる運動が起こるのだが、これもインターネットでの予言となるだろうか?

 蛇足だが、エーコの「薔薇の名前」に出てくる博識な盲目の図書館長ホルヘは、ボルヘスがモデルとなっていることはいうまでもない。